はじめに
ブログをご覧の皆様、こんにちは! 競技責任者の栗田です。
今年の東大OLK大会は楽しんでいただけたでしょうか? 競技中に見える景色は、他のテレインでは見たことのないようなものだったのではないでしょうか?
大会からすでに数週間が経過してしまいましたが、今回はそんな魅力的な「八千穂高原」テレイン解説をします! コース解説しつついきます。
Livelox でたくさんの競技者のルートが見られるので、そちらもぜひ見てください!
本編
これが今回の地図です!
作図責任者の山口が、毎日深夜から明け方まで、人々の調査進捗を反映してくれて作られた地図です!
「八千穂高原 ~幾星霜、颯を望む~」
地図副題は会計責任者の吉田晃平が愛を込めて付けた名前です。
・「幾星霜、」=これからも末永くこのテレインが使われるように、読点はここで完結せずまだ続いていくことを表現。東大大会がこれからもずっと存続していってほしい、という意味も込めて。
・「颯を望む」=マッパー&サブマッパーの名前から 1 文字ずつ。八千穂は風が心地いいので意味としても合っていると思った。これからもこの場所で吹く風を感じられるように。
最高の副題です。カッコイイです! 大好き!
さて、MEのコースとともに見ていきましょう!
北西範囲
視界が開けてスタート
立派なスタート誘導を辿って植生界を抜けてスタフラが見えると、その先に見事なA藪の斜面が広がります! いきなりの登りレッグ。特徴物は決して多くありませんが、視界が開けている分、見えやすかったかと思います。大きく1ポのある尾根を捉えられればそれほど難しくなかったと思います。
登るのが大変で景色を見る余裕がなかったかもしれませんが、ここは上から見下ろすと、とっても綺麗なのです。大会当日はちょうどツツジが綺麗に咲いていました。みなさんも見られましたか?
れき地と藪の海、その先の異世界
1-2のレッグで多くの競技者が絶望したかと思います。そう、C/D藪を漕ぐか、Cれき地を渡るしかないこのレッグ。想定は、レッグ線上のCれき地を渡るルートです。登りなのでそれほどスピードは出ないはずですし、スタートしたばかりでまだ元気でしょうから、安全に気を付けながら耐えましょう。(岩や切り開きの描き込みを見てください。この範囲をしっかり調査した人がいるのです。前大会作図責任者の遠藤さんです!)
しかしこの絶望に立ち向かった人は、「八千穂高原」で最も美しい森を目にすることになります。まるでヨーロッパの森のような(行ったことないがそうあって欲しい)、開けた静かな森が突然視界に飛び込んできます。ぜひともここを見てほしくて、あの絶望のれき地を通ってもらうコースを組みました。感動してくれましたか?
2-3は、私が最も好きな場所です。平らで何もないこの空間はMEだけしか使っていません。難しいレッグではありませんが、この空間に驚いてほしかったのでMEだけでも……と組みました!
3-6は、美しいA藪を楽しみつつも、B,Cハッチに入ったら正確に方向を維持してしっかり推進力を持って走ってもらう課題です。地図に記載できないほど地形が細かくて非常に分かりにくいので、頼りになるのはコンパスですね。
6-7で、ハッチから美しの森へ再突入します。ここはぜひまっすぐ行ってほしいものです。決め切ると、美しの森の開けるタイミングと、沢下りが始まるタイミングで2回気持ち良くなれます。
8ポ北東には風穴があります。風穴の中にはヒカリゴケが光っていて、とっても綺麗です。ぜひオリエン関係なく見に行ってみてください。
笹と白樺
8ポから北の道に出て遠くの山々を眺めるととっても素敵な景色が見えます。この後給水所と救護所を繋ぐようにA藪を下るのが最速想定です。ここも気持ちの良い森を爽快に下れます。
9-10はC藪を左右どちらから避けるか、あるいはC藪を突っ切るかの三択です。左かまっすぐが最速かと思いましたが、Liveloxを見るに左ルートが速そうです。
11-12では、上手くC藪を東側から避けると、白樺林に突入できます。テレイン内の白樺はほとんどここだけだと思います。東洋一と謳われる白樺林、その目で見れましたか?
12ポは立派な炭焼き窯跡についています。穴ではなく、ドームが残っています。
”八千穂のすべてを詰め込んだ” ラフオープン
13-14でラフオープンを下りましたね。東側には、観光施設「花木園」があります。このラフオープン、運営者の誰かが次のように称しました。
「八千穂のすべてが詰まっている」、と。
この小さな範囲に、岩も岩石群もハッチも窯も目立つ木も、全部詰まっています。ここを通ればあなたも八千穂をコンプリートしたも同然!
さて、このあとの14-15は国道沿いをひたすら走ってもらいます。途中の橋の上からの眺めは最高です。しかし実はこの区間で等高線を8本登るのでハードです。耐えましょう。会場付近を通過するので、応援の力を貰った人もいたでしょうか? 道走り区間を作るほかになくてコースセット時にかなり悩みましたが、結果的に良かったかなと思ってます!
番外編「絶望の笹の海」
11,12ポの西側、緑べた塗りの範囲があります。当初ここを使おうと思って、調査に入ったらあら大変! 笹ハッチしかありません。調査をした痕跡はあるかと思います。この範囲すべて、演出パートチーフの松塚とデザインの新目が見て回り、笹しかないことを確認しています。でもお昼ごはんに適したオープンもあるそうで、しっかりそこも調査してきてくれました! とてもじゃないけど使えませんが……。
南東範囲
小さな岩とれき地
南東範囲になると、北西と打って変わって等高線が詰まっています。また新たにギアを切り替えて臨みましょう。
16-17はショートレッグですが、真っすぐ行くと登りがつらいです。上手くコンタリングで回避しつつ、小さな尾根を見て岩にアタックしましょう。北の小径が少しわかりづらくなっていたので、ここで下りすぎてしまう人もいましたね。
先まわりして22-23も見てしまいましょう。道の終わりから真っすぐ23ポに向かってほしいですが、ハッチと斜面で左右にぶれやすくなっています。また23ポの直前の大きな尾根をどこで登り、どこからアタックするかを意識しないと、23ポまで不安になるかもしれません。れき地をストッパーにしたいですね。
古峯ヶ原!?
17-18がこのコースで最も力を入れたレッグですね。北の切り開きからアタックすれば比較的簡単ですが、真っすぐ行くと難しいです。真っすぐの人は途中で特徴物をうまく拾いながら、行きたいですね。
実はこのレッグ、プランナーでありながら左ルート(北の切り開き)が見えていませんでした。試走でも真っすぐか右(南の尾根からアタック)を考えていました。これ速くいけたら格好いいな、なんて考えてたら、左の切り開きルートをみなさん選んでいて、あ!となりました。恥ずかしいかぎり。でも真っすぐルートで速い人も間違いなく格好いいです。
さて18ポの周辺に初めて入ったときは、前大会競技責任者の久保木さんと一緒でしたが、二人で大興奮していました。昨年の第45回東大OLK大会の開催地「古峯ヶ原」を彷彿させる、藪が少なく、岩とれき地がごーろごろの北向き斜面(さらに、クマもいる)。昨年度からのつながりを感じられてとっても嬉しかったです。参加者の皆様はどうでしたか?
↓この画像は斜面がゆるやかですが、奥の地面の感じは古峯ヶ原っぽい。
パイナップル🍍
コースの終盤、23-24-25のショートレッグです。23-24は地形もわかりやすく、れき地も使えるので良いでしょう。問題は24-25です。要項4(公式掲示板)で載せた、アレに隠されたポストです。
パイナップル🍍と調査者が呼ぶこれらは「オシダ」という植物らしいです。彼らはGWにはみんな枯れていたのに、前日ポ確に向かったら、生き生きと葉を広げていて絶望しました。想定していなかったポストが隠れてしまう事態に、EAの宮嶋さんと悩みました。が、優秀な調査者が去年の夏にここをBハッチで描いておいてくれて、しかもそれをGWに消さないでいてくれたので、そのまま設置しました。絶対に直進を当てないと大きなロスになる、レース最終盤での嫌なレッグですね。背丈は高いですが、走ってみると意外とスピードは落ちないのでBになっています。
フィニッシュへの大空間
本当に最後、パイナップル🍍を抜けてラスポに向かう25-26の下り斜面も爽快だったと思います。レース中、藪やハッチやれき地で苦しんでも、最後はすっきりした気持ちでフィニッシュしてほしい、そう思って組んだレッグです。走り抜けられましたか?
おわりに
長々とお読みいただきありがとうございました。
誰よりも「八千穂高原」に入って、誰よりも歩きまわったという自負があり、テレインのことが大好きなので、その好きが競技者にも伝われ! と思って組んだコースです。みなさんが、オリエンテーリングとしても、森としても、今回のテレイン・コースを楽しめたことを願っています。
最後に、フィニッシュ付近をコース中に通過することに対し、一部競技者を制止することとなりました。事前に想定でき、また要項で競技者に対し周知できた内容でした。ご不利を被った競技者の方々にお詫び申し上げます。
また一部クラスで、本来お渡しする地図とは異なる縮尺の地図をお渡ししてしまうミスがありました。こちらも、運営側の事前の確認不足によるものです。適切な地図を持って出走できなかった競技者の方々にお詫び申し上げます。
上記二件については、後日大会サイトに掲載予定の報告書にて詳しい経緯をご説明いたします。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
東大OLK、東大OLK大会、そして八千穂高原を、今後ともよろしくお願いします!